インプラントはチタンでできている。
それが何だ。
患者から言わせれば、骨にグリグリねじ込むネジではなか!
ネジならホーマックに行けば、数百円で買えるのに、
何で「そのチタン」は桁が違うんだろう?
そもそもチタンでなくても良いではないか。もっとお手頃のものがないのか?
銀歯で使っていた丈夫そうな金属でいいのではないか?
そんな印象をお持ちの方がいたら、今一度、私たちの人体を考えていただきたいと
思うのです。私たちの体は、体にない異物が入ることに抵抗を示します。
チタンは人体が抵抗しない、素材と言われています(生体親和性が良いとメモが残っている、きっとそういう言葉が適切であろう)。
歯科医から聞きましたが、スェーデンのブローネマルク教授という方が、
人体とチタンの結合生を発見し、今日のインプラントの道を拓いたと
聞きました。長年研究して、発見した素材が、チタンだったのです。
そして、このチタンは、昔よく使われていた銀歯のように、水に溶け出しにくいと
言われています。昔よく使われていた素材に、
「アマルガム」、「金銀パラジウム合金」、「ニッケルクロム合金」、「銀合金」
という銀歯がありました。これらは、水溶け出す可能性が指摘され、特に金属アレルギーを持つ人には、体に悪影響を及ぼす懸念がされているのです。
インプラントが、これらの昔ながらの口に補綴に使われる金属で作られたなら、
結合性には欠けるは、金属が溶け出す可能性を知りながら埋めるということになります。
サファイヤや鉄、ステンレス、アルミニウムなど色んな人工歯根が研究されて、
研究、臨床がされて今日の「チタン」に行きついたのです。
そして近年、このチタン製インプラントに対して、
ジルコニアという素材を使ったインプラント(ねじの部分)が使われてはじめています。
ジルコニアというと、冠で使う素材(見える歯の部分で使わる歯の素材で硬いことで知られる)
と耳を疑いたくなりますが、ネジ(埋め込む部分)がジルコニアなのです。
後発であるジルコニアのインプラントを使っている歯医者さんは、現在は少数派かもしれませんが、
チタンは人体に親和性の高い金属で、安全性に優れているといっても「金属」です。
稀にチタン製のインプラントを埋入して金属アレルギー反応を示す方がいたときに、
ジルコニアのインプラントは、その心配がないと言われています。
ジルコニア製ですから、素材は白く、硬い。強度は申し分なく、埋め込んだ後の歯ぐきが
黒ずむ心配もないと言われると、ジルコニアの優位性を感じずにはいられないのが素人とという者です。
さらに、冠までジルコニアにしたら、相当硬度なインプラントの完成物が口腔内に収まることになります。
しかし、少々気になることがあります。
(チタン製のインプラント神話に耳が慣れすぎているかもしれないが)
硬度ゆえの弊害
骨に埋まって動かないことの弊害(ジルコニアに限らず、インプラントすべてに言える)
は、無いのだろうか?という点です。
硬度ゆえの弊害と記したのは、自然歯との共存をする人口歯なのですから、
当然、咀嚼のときにぶつかり合ったり、切り裂いたり、擦り合わせたりして、食物を取り入れるでしょう。
そのときに、一方が極端に強ければ、弱い方は必然的に、強度において優劣が発生し、
弱い自然歯は、強いジルコニアの人口歯によって痛む。
直接ぶつからないように、咬み合わせの当たりを変えればよいと、咬み合わせを変えれば、
今度は正しい咬み合わせができなくなり、咀嚼そのものが乱れ、顎の変異など時間をかけて
口腔内に悪影響はないものだろうかと考えます。
自然歯より、弱ければ、人口歯のほうが壊れるだけで、また付け替えれば良いわけですから、
埋入する歯の位置(前歯、奥歯など、上下など)に応じて、冠はセラミックを選んだり
するのでしょう。~私は自然歯を優先する考えです。
歯根の部分となったジルコニアの強度に関しては、土台となる骨への影響の臨床がどれくらいあるのか知りたいところです。
歯にはともかく、すごい重圧がかかっていますので、硬度なジルコニア製のインプラントが
骨に及ぼす負担はチタンと比べて、どうなのだろうか。
骨や顎にかかる急激な負担で、損傷すうようなことはないのだろうか?
今後増えてくると思われる、チタン製インプラントの症例や患者さんの声に
アンテナを参りたいと思います。
最後に、最初の話に戻りますが。
インプラントはネジの形状を持っていますが、大工仕事で使うネジとは全ぜん違います。
恐ろしいほど沢山の知恵と臨床を重ねてたどり着いた英知の結晶なのでしょう。
インプラントの歴史は古く、紀元前には貝殻が使われていたと聞いた記憶があります。
これでも普通のネジですしょうか?
私にはインプラントが、”下町ロケットの技術者の努力と研鑽の結晶”に見えます。
(文:インプラント旭川.com 管理人 旭川のインプラント観察人)
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